『竹取物語』あらすじ 「日本古典文学体系」岩波文庫より
第四段 別離
そのうちかぐや姫は、月を見てはたいそう泣かれるようになりました。
八月の十五日も間近い頃の月が出るようになると、かぐや姫はまた一層泣かれるのでした。
ある日、かぐや姫は翁とおばあさんに言いました。
「私はこの国の人ではありません。月の都の人なのです。八月の十五日が来ると、月から迎えが来て、どうしても
帰らなければならないのです。お嘆きになるのが悲しくて、ずっと思い嘆いていました。」
翁は髪もひげも真っ白くなり、腰も曲がり、すっかり老いてしまいました。帝はあわれに思い、兵隊を二千人も出し
てかぐや姫を守ろうと竹取の翁の家を取り囲みました。
しかし、天人が「いざ、かぐや姫、この穢れた人間世界にどうして久しくいることがありましょう」と言って手をさしの
べると、厳重に閉めてあった門も戸も自然に開き、かぐや姫が出て来ました。
翁には衣を形見に、帝には不死の薬の入った壺を残すと、天人が持ってきた羽衣を着ました。そうして、百人ば
かりの天人を引き連れて天に昇って行ってしまったのでした。
第五段 昇天
翁は病に伏してしまいました。
帝は、かぐや姫の残した不死の薬の入った壺を見るにつけ寂しく思い、物思いにふけっていました。ある日家来
達に「いずれの山が天に近いか」と聞かれました。ある人が「駿河の国にある山が天に近く、都にも近くあります」と
答えると、帝は嘆かれ歌を詠いました。
逢うことも
涙にうかぶ我が身には
死なぬ薬も何にかはせぬ
そうして、この不死の薬の入った壺を、その山で火をつけて燃やすように言われました。
第六段 不二
家来は、山に登って不死の薬の入った壺に火をつけ燃やしましたその煙は、もうもうと上がって雲の中にたち渡り
ました。
それから、その山は富士山と呼ばれ、今でも富士からの昇った煙は、雲をつき抜け、天に昇るといわれています。

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