民話と紙芝居の家                          

   絵巻物の見方

   左手で押さえて、右手で巻き取りながら、ちょうど両手の巾で絵巻を広げて見ます。すると、右の方からだんだん
  過去になり、左手に未来があります。紙芝居は右手に立って、紙を抜くとだんだんと未来が広がって来て、移動する
  紙はだんだんと過去になって行くのです。
    

   右が過去で、左が未来という構図は東洋のもの、西洋には空間象徴の理論があって、一般には右は未来、外界
  、意識を象徴し、左は過去、内界、無意識を表すとされているので絵巻物は東洋独特なものといえます。
   特に『新貴山縁起』の剣兜童子があらわれる時、まず左から右を向いた童子が雲の上に大きく描かれています。
  絵巻を巻いて行くと、雲の空間があって、飛雲の先頭に左から右へと疾走している童子の姿があらわれ、その後に
  は長い長い雲が尾を引き、自然の風景へとつながっています。1枚1枚めくると本と違い、絵巻の絵の上部の空間
  はつながっているのです。
   
                                   
                          
   紙芝居をめくる時、めくる絵と次の絵の工夫がなされるのは、この絵巻の文化を受け継いだのであろうと思われ、
  きわめて日本的な文化であることがわかります。
   その他、『伴大納言絵詞』にも1人の束帯姿の男が左から右を向いている絵があり、すぐに続いて、同じ男が今度
  は右から左に向かって部屋を伺っている絵があります。
   同じように紙芝居にも左から右を向いていた人が、次の場面で右から左を向くという手法がなされています。それ
  も、抜く途中、舞台上の2つの場面に同一人物が右を向く、左を向く、という姿でも不思議ではないとする日本的な
  空間の考え方につながっているからでしょう。
   絵巻に画面の巻き方があったように、紙芝居にも巻き方が大きく左右しているのです。
   極めて日本的な考え方のひとつが紙芝居に込められているのです。

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