―その〃有効な使途〃をお客と共に考えたい
米国では看板で示す
外国のテレビでフランス、アメリカなどのニュースを見ていると、何か
の事件の時、テレビインタビューで答える人々が「こんなつまらない事
件に何日も何人も投入し、税金をつかってもったいない」などと答えて
いる場面に出会う。日本人にとってはえげつないと思われるような返事
もある。
しかし、日本ではまじめに一生懸命働いている小市民は、税金を払うの
に一生懸命で、払えば責任を果たしたような、一仕事終わったような気
がして、使い方には払うほど一生懸命ではない。時の正義や純理を研究
したり議論したりするほど余裕もなく、大抵のことは受け身になって
「仕方がない」と淡泊である。その筋の専門家の意見を聞いて、「主張
すべきはすべきだ」など力むが、すぐ日常の生活に鈍化してしまう。
地元新聞にも、大まかな歳入、歳出に記事が出るくらいで、細かな使途
まで追求しないのが、殆どの私たち仕事にあくせくしている小市民であ
る。
最近、若い経営者グループと、アメリカの温泉地を視察してきた。世界
一の温泉プールのあるコロラド州グレンウッドは、冬のスキーだけでな
く、昔、先住民が使っていた温泉の再利用、豊富な自然、コロラド川を
利用しての誘客に懸命で、六千五百人の人口に、年間百二十万人からの
観光客が来る。
商工会議所の若い説明者がわれわれ七人を各地に案内をしてくれたが、
非常に興味深い看板が、感じよく、何気なく置かれていた。グレンウッ
ドを訪れる観光客の入湯税の使途が書かれていたのであった。訪れた観
光客は、それが自分らが支払った税金で造られた橋か、公園か、遊歩道
かを理解し自分たちの物として、誇りに思い大切に思っている。
しかし、それでもホテルで徴収され、志に支払われた入湯税に対して満
足したとか、これこれした方がよいとか、意見を寄せて行くというので
った。
温泉は天然資源として、川、森林などと共に市で管理し保全している。
ヨーロッパの各温泉地も入湯税は、同じ様に扱われていることは知って
いたが、アメリカの観光客が、わずかな入湯税に対してその額でなく、
自然保護としてその税を理解し、温泉地を施設を大切に、誇りに思って
満足していることを目の当たりに聞き及び、観光地の施設を蹴り飛ばし
ながら利用して帰る日本の一部のふらちな観光客に苦慮している業者に
とって、この話は聞き流してはならない大切なことである。
道徳面からも考えたい
税金の使途の確認と、自分らの税金で造った施設を大切にする道徳面と
から言っても、これからの観光群馬、〃温泉ほかほか群馬〃にとっても
考えなければならない問題である。
最近は市町村で温泉を掘削し公営の温泉施設もできたが、公営の温泉管
理費はもちろん、公費。しかし民間温泉施設者は掘削費用から始まって、
管理保全も全て自前であり補助など考えられようもない。その上、訪れ
た温泉使用者に入湯税の行方ももちろん、衛生費は何かに使途されてい
るのであろうか。細かいことを調べる意欲も失われるほど、私は毎日観
光客対応に一生懸命働いているが、温泉宿の女主人、どちらを見てもに
私に似たり寄ったりである。
入湯税は払った人のための物であり、利用した温泉施設を守るものであ
り、その付近の環境美化、利用者の保健衛生に使われるべきものである
ことを、かれから、入湯税の行方と、その有効な使途を税金を払った観
光客と共に考えたく六月一日よりアンケートを実行することにした。
それがわずか三十年前に祖先より委譲された自然湧出(ゆうしゅつ)の
温泉を多大な運営管理費を捻出(ねんしゅつ)しながらも、だんだん地
中深くポンプアップしなければならなくなった温泉に対して、かわいそ
うになった私の覚醒(かくせい)である。