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〇猿ヶ京ホテル再発見その4 ”容姿端麗⁉”30年以上、お豆富をつくっています。

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1、大豆の相場は沼田で決まる!?
利根沼田は大豆の特産地。豆富は自家製の「ごちそう」でした。


猿ヶ京を含む群馬県北部の利根沼田地方は、豆富の原料となる大豆の生産が盛んです。地場の大豆を使って、地元の人たちは昔から自家製の豆富をつくってきました。 
また豆富づくりに欠かせない「にがり」も、かつては各家庭でかます(またはガマ、カマ)と呼ばれる藁袋に塩を入れ、したたり落ちてきた液体を集めて作っていたなど、その工程のほとんどが手づくりでした。このように豆富をつくるにはとても手間がかかりました。仕事で忙しい日常では作っている暇はありませんでした。このため、正月・祭り・婚礼などのハレの日、あるいは田植えで人出を頼むときなどに特別な料理として豆富はつくられ、振る舞われたのです。つまり、この辺では手間のかかる豆富は日常食ではなく、「おごっつぉう(ごちそう)」だったのです。


2、猿ヶ京の民話と豆富との関わり。
「豆富懐石」のきっかけも民話でした。
はるさんつるさん


猿ヶ京の周辺には、豆富にまつわる民話が数多く残されています。「豆腐仙人」「花びら豆腐」「豆腐屋と左じん五郎」「田楽法師」「豆腐姫」「豆腐の助」「豆腐のくどき」「豆腐じぞう」など枚挙にいとまがありません。それだけ豆富がこの地域で好まれていたことの証明でもあります。民話の語りを30年以上行ってきた当館の大女将が、民話の取材に地元新治村の語りべのおばあさんを訪ねていた時、何度となくかよううちに、おばあさんは手づくりのおいしい豆富をおかずに食事のおもてなしを受けることがありました。大女将はおばあさんにその豆富の作り方を教わり、親しいお客さまに自家製の豆富を振る舞うこともあり、ホテルに泊まったお客さま全員にお出しすることを志し、豆富工場を平成元年につくったというわけなのです。


3、大豆、にがり、水――
味の決め手は素材。シンプルだからこそ。


豆富は、にがりと共に大豆のたんぱく質によって凝固します。また、大豆の糖分によって旨味が出ますが、糖分が多いと凝固しにくくなります。このため、たんぱく質を多く含む品種と糖分を多く含む品種を厳選し、2つの品種を独自の配合でブレンドしています。にがりは古くから製塩で知られる兵庫県は赤穂産を使用しています。豆富は8割が水分です。水が良くないと、おいしい豆富はできません。地元に湧く三国山の麓の水を生かし、さらに後述する電子チャージャーと呼ばれる装置により、「電子水」にして使用します。大豆、にがり、水。シンプルな素材だからこそ、豆富のおいしさは素材が決め手になるのです。


4、豆富、豆乳、湯葉までも自家工房で丹念に手づくり。


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「豆富懐石」に使われる豆富・豆乳・湯葉は、猿ヶ京ホテル内の自家工房でつくられます。特色のひとつは、電子チャージャーと呼ばれる装置により、水の分子(クラスター)が小さく浸透度の高い「電子水」を生成していること。この電子水に大豆を8時間浸漬します。次に「摺る~煮る~搾る」の工程を一元化した装置に大豆を入れ、「豆乳」と「おから」を製造。豆乳に天然にがりを入れて「絹ごし豆富」に、さらに豆乳から「湯葉」をつくります。これらの工程で余分な添加剤は入れません。


5、猿ヶ京ホテルの豆富は三つの高度な近代科学の知恵が生かされています。
  (トウフ工場オープン当時のパンフレットから)
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ひとつ 生きている水=“Living Water”
水は、三国山系を源にもつ水をろ過し、更に高圧誘導静電装置でチャージし、“Living Water”に換えています。その過程でミネラルが補充され、名だたる名水とうたわれた自然湧水同様の、生きている水となります。活き活きした“Living Water”は、大豆蛋白、天然にがりを100%生かす基本となっております。


ふたつ 18%豆乳
国産の大豆を使用しています。そしてここでも高圧誘導静電装置で大豆蛋白の酸化を防ぎ、細胞の組織を活性化させています。
静電気を充電した大豆蛋白は、まさに“稲妻の落ちた稲は豊かに実り美味しい”という昔からの言い伝えを実証すべく、大豆蛋白の濃度を15%~18%にし、天然にがりが100%生かされるように豆富が製造されています。


みっつ 100%にがり
高圧誘導静電装置によって作られた生きた水と、活性化された濃度の高い大豆蛋白によって、100%天然にがりが生きています。天然にがりの成分マグネシウムは人体に不可欠なミネラルで食品の味を良くしてくれる健康の宝石です。日本人はその健康の宝石を古来からにがりで作られた豆富によって摂取してきました。今日、その祖先の恵みを高度な近代科学の知恵でパワーアップし、ご提供させていただきます。


6、豆富料理の一部をご紹介しましょう!


1 引き上げ湯葉
自家製の新鮮な豆乳を卓上で湯煎し、表面に張った湯葉を引き上げ、わさびの利いた「くずたれ」でいただく料理。お客さまご自身で出来立ての湯葉を引き上げ、召し上がっていただきます。(夏の時期は工房で湯葉を採り、冷やしてご提供いたします)


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2 スモーク・ド・トーフ
当館オリジナルの逸品。絹ごし豆富に重しを乗せて一昼夜。十分に水を切ったあと、西京味噌をベースにした味噌床に3日間漬け込み。さらに、その味噌漬豆富をサクラのチップで焚いて燻製にします。スモークチーズのような独特の味わいが人気です。


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3 卯の花/きらず
夏季は「卯の花」、冬季は「きらず」と呼ぶおから。豆富工房ではおからにもひと手間。搾って出たおからをそのままではなく、丁寧に2回裏ごしをして、きめ細かくしたものを炊き上げてご提供しています。上品でソフトな味わいのおからです。


4 枝豆豆富
完熟前の青い大豆「枝豆」を使った豆富。枝豆の彩りと風味が楽しめます。枝豆だけで豆富をつくると上手く固まりません。そこで豆富をつくる過程でペースト状にした枝豆を加え(凝固剤等は加えず)、枝豆の旨味を生かした一品に仕上げました。


5 季節の白和え
豆富を裏ごしして、胡麻・白味噌などを加えた白和えは豆富料理の定番。豆富懐石では春夏秋冬、季節の食材をいっしょに和えてお出しします。秋冬の季節はきのこ、夏はザーサイ、クラゲなど、時季にふさわしい山海の幸をお楽しみいただけます。


令和2年6月22日
豆富懐石 猿ヶ京ホテル 総支配人


参考:日本の食生活全集 10 聞き書 群馬の食事
   上州新治村178歳の青春 はるさんつるさんの昔話 持谷靖子編

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